第2回:私のフリースクール生き残り戦略——試行錯誤から見えてきた道

フリースクール運営の試行錯誤から道筋を見出す過程を表現した、教室の机上(ノートや付せん)のイメージ画像
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試行錯誤の2020年

初年度の苦戦の原因を分析したとき、足りなかった考えとしては、需要を考えなかったことでした。まず通信制高校のサポート校単体で経営を成立させることは困難です。というのも、かつての通信制高校は通信教材(レポート)、単位認定テストのための勉強を独力でこなす難しさがありました。したがって通信制高校の卒業をサポートする、「サポート校」にはそれなりの需要がありました。しかし近年では通信制高校は、週5日登校コースを開設しているところが多くなり、サポート校が果たしていたような、単位を取るための支援を通信制高校自らおこなうようになりました。単位を出すところが、単位取得の支援をやってくれるのですから、卒業率はどんどん高くなり、サポート校の需要はどんどん無くなっていきます。私はそんなサポート校受難の時代が始まった頃にサポート校を作るという、時流を読めない行為をしてしまったことで、スタートからつまずいたというわけです。

ただ私の構想はサポート校を中高一貫的に考え、中学生から最大6年間サポートするといったものであり、中学生に対するサポートが一般的には「フリースクール」といわれるもので、そこにはかなりの需要がありました。中学生の多くは不登校の克服、学校復帰、高校受験を志向しているため、中学生が受験に合格すればするほど、学校に復帰すれば復帰するほど、地域での評価は高まり入校者が増えていきます。またフリースクールに入校する生徒は、友達を必要としている生徒、生活リズムを直したい生徒、家以外に過ごせる居場所を必要としている生徒など、ニーズが多様です。サポート校の高校生のほとんどが、高卒資格を取得することを第一の目的としているのに比べ、フリースクールは集客の範囲が広いという点において有利でした。滝野川高等学院はサポート校として開校しましたが、2年目には「サポート校・フリースクール」と併記するようにしました。またこの年は学習塾も立ち上げました。

そもそも需要があまりないサポート校、需要はあれど、不登校生が各地に点在しているためピンポイントで集客することが難しいフリースクールに比べ、学習塾は周囲にチラシ等で周知すれば誰かしら入校してくれます。ポスティングの会社に近隣世帯に1万枚程度のチラシを入れてもらうようにすると2、3人の入校が見込めます。塾単体で勝負していたり、大手の塾に高額なフランチャイズ料を払っていたりする塾にとっては、数人入っただけでは到底運営は成り立ちませんが、サポート校・フリースクールの運営の一助としてであれば、充分な集客といえます。こうしてサポート校、フリースクール、学習塾、という3事業を同時に展開することで集客の間口を広くし、2020年度の終わりには15人程の生徒が在籍するようになりました。依然経営は厳しいものがありましたが、何とか最悪な状況は脱しつつありました。

生徒数大幅増の2021年

2021年、突如として小学低学年の児童の入校相談が相次ぐようになります。不登校問題は数十年にわたり長らく主に中学生を中心とした問題であり、小学生の不登校生もいたものの、数としてはそれほど多くはありませんでした。しかし2017、18年頃から一気に増え始め、2021年には8万人を超える小学生が不登校となっていました。前年度から約30%増というのは驚異的な数字と言わざるを得ません。そういった中で不登校小学生の居場所は全国的に不足しており、これまでフリースクールの多くが中学生をメインターゲットにしていたことも相まって、滝野川高等学院で何とか子どもを受け入れてくれないか、という小学生の子どもを持つ保護者さんたちからの問い合わせが急増しました。

私たちとしては、すでに学習塾部門で小学生を受け入れていて、2人だけですがフリースクールでも小学高学年の生徒を受け入れている状態でした。また先述の大学生をはじめ、支援が必要なことに年齢は関係ないことも分かってきていたので、今さら躊躇は必要ありませんでした。小学生を受け入れてからビックリするようなことが何回か起こったのですが、小学生たちはそれ以上に明るくて元気で、控えめな生徒の多い中高生に灯りをともしてくれる存在になっていきました。2021年はこういった社会の変化の影響も受けつつ、在籍生徒の低年齢化が進みました。それと同時にとても活気のあるスクールとなり、地域での知名度も一気に高まっていったように思います。気が付けば生徒総数は30名を超えました。まだまだ経営的には苦労がありましたが、ひとまず倒産することはなさそうだという安心感が高まった1年でした。


本記事は『季刊 居場所研究』第1巻第1号(居場所研究会発行)より、著者の許可を得て転載しています。

▶ 次回「私のフリースクール生き残り戦略(3)株式会社自由教育の設立と新たな課題」へ続く

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